失業保険(失業給付金)は、人によって、早くもえらることを知っていますか?
ハローワークに手続きに行く前に知っていると、かなり有利になります。
働き方改革で、労働力の流動化が予想されています。
一生、同じ会社に勤めることが、普通でない社会がそこまで来ています。
退職・転職について知っていることが、武器になります。
また、失業保険は一生のうちに何度もお世話になるものではないですし、その仕組みは複雑で、窓口で説明を聞いても、勉強していないと半分もわかりません。
勉強しないばかりに、もらえるものも、もらえないかもしれません。
ハローワークで確認
失業保険は、雇用保険に一定期間加入して、失業していないともらえません。
(退職前2年間に12ヶ月以上であること、など)
自分でよくわからない場合は、ハローワークに行って聞きましょう。
行動を始める時期が重要!
失業保険をもらおうと思っているのなら、退職する前、できれば半年くらい前から行動すると有利になります。
どう有利になるの?
- もらい始めが早くなる(7日間+3ヶ月)が(7日間)へ
- もらえる期間が長くなる(例えば、90日間が270日へ)
これは、お買得セールどころの騒ぎではありません。知っているのと知らないのでは天と地の差です。不正受給はもちろんアウトですが、辞めてすぐ手元にお金が無い時、すぐに職が見つからないときは、強い味方になります。
もちろん、すべての人が、こうなるわけではありません。しかし、勉強して見る価値があると思いませんか?
有利になる退職行動
【 】の中をするかどうかが、ポイントです。普段、学んでおかないと、急な退職のときは、バタバタしてそれどころではなくなります。
- 【失業手当について勉強をしておく】
- 退職を決める
- 【退職の準備をする】
- 退職届を出す
- 退職
- ハローワークに行き失業保険の手続きをする
- 求職活動をして就職
今はまだ、退職して自分にあう会社に再就職する、という考えが一般的でないのが残念です。今の会社が自分に合うのかさえも、考えないのが現状ではないでしょうか。
あなたの会社は、あなたを成長させてくれますか?消耗品としか見ていないのでは?
会社のブラック度を見直す視点で書いた記事「退職のやり方」も参考にしてください。
有利になる知識と行動
3ヶ月の給付制限とは
給付制限とは
最初にハローワークに行って雇用保険の手続をした日から、7日間は「待機期間」といって、バイトも含め仕事をしてはいけません。これは全ての失業者共通です。
その後、自己都合で退職した人には、3ヶ月の「給付制限期間」があります。この3ヶ月の失業手当はもらえません。かなりきついですね。
会社都合などで退職した人には、この「給付制限期間」がありません。待機期間が終了した次の日から支給されるわけです。この差は大きいですね。
給付制限なし(会社都合)
給付制限期間があるかないかは、離職票を提出するハローワークの雇用担当窓口で決まると言っても過言ではありません。
離職票の記入例はハローワークのインターネットサービスにあります。離職票は会社が作成するので、自分が書くところは、最後の欄とチェック欄くらいです。
離職票-1、離職票-2
注目すべきは、離職票-2の最後の欄です。
「具体的な事情記載欄」が事業主用と離職者用があるところから、「例」のように全ての離職者が会社の主張のようには動かないということです。
また、異議申し立ての意思表示欄があるところも着目です。
自己都合退職にしない
ハローワークの「例」のように書くと、給付制限を受けてしまいます。
退職届に「一身上の都合で」と書き、それに基づいて、会社が離職票を作成し、本人も認めた、この退職パターンが最も多いです。
しかし、現状は異なる場合もあります。
会社都合によるもの
会社が倒産した場合は明らかですが、会社の都合で離職した場合は、様式の「具体的事情記載欄(事業主用)」が「会社都合による退職」になります。
この場合は、給付制限を受けないばかりか、給付日数も伸びます。
例えば、あなたが45歳で雇用保険を5年掛けていたとしたら、自己都合ですと90日ですが、会社都合だと240日です。
この差は非常に大きいので、退職届の退職理由を書くときから注意しましょう。
離職票に「自己都合」とあったら、会社に訂正を要求しましょう。
ハローワークの雇用保険担当窓口で、
⑯欄の「事業主が◯を付けた離職理由に異議」を「有り」にすることもできます。
その場合、ハローワークは会社に調査をかけます。その結果、会社都合が認められない場合もありますので、離職票を事実に基づいたものにしておきましょう。
倒産、解雇の他にも次のような場合があります。
これらに当てはまる離職者を「特定受給資格者」といいます。
賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったため離職した
賃金が85%未満に低下したため離職した
残業が多いため離職した
「残業が多いので離職」は、他のものと少し考えが違うかと思います。
離職の直前6か月間のうちの連続する3か月で45時間、または1か月で100時間、また連続する2か月以上の平均が80時間を超える時間外労働が適用条件です。
しかし、これくらいは「普通」に残業していませんか?
「普通」の社員が辞める場合、会社は「会社都合」にしたがりませんので、離職票の「具体的事情記載欄(事業主用)」は「自己都合による退職」になると思います。
ハローワークの窓口で、「異議有り」で主張することになります。
その場合、客観的資料を求められますので、タイムカードのコピー、残業命令簿のコピー、給与支払書など資料として提出することになります。
【勉強】と【準備】がここで活きます。
パワハラ、セクハラ、マタハラを原因に離職した
この主張が通るのは非常に難しいです。
事業主がハラスメントを原因で退職させた、と理由を書くことは、ほぼ無い
ハラスメントを容認しているような事業主が、厚生労働省の書類に、自分が後々不利になるような事実を書くはずがありません。
離職者はハラスメントを受けた証拠を資料としてハローワークに提出
この資料作成が非常に難しい。客観的事実を証明しなければならないので、写真を取るとか、証言を添えるとか。
ちなみに音声データはハローワークではセキュリティ上から再生できない(メディアを接続できない)ので受け取らない可能性が高いです。
心療内科医師の「退職が必要」という診断書があっても、「それは、あなたのその時の状態を示すもので、会社でのハラスメントの事実を示すものではありません」と言われます。
ある意味、裁判の証拠採用よりキツイような気がします。
ハローワークでは資料を元に、会社側に調査をします。調査と言っても「聞き取り」らしいので、聞かれただけで、会社側が認めるはずはありません。
よほどの証拠がない限り、ハラスメント原因は、資料作成などに時間とエネルギーを使う割に、認めれる可能性が低いです。
特に、こういうときは、身も心もズタボロになっている場合が多いので、お勧めしません。
ハラスメントについては、別記事でまとめました。興味のある方はどうぞ
パワハラ防止法とは・2020年6月1日施行
パワハラ防止法で働き方はよくなるか・2020年6月1日施行
パワハラとセクハラの違い
などなど
他に、あなたに当てはまる場合もあるかもしれませんので、退職する前にハローワークに確認してみましょう。
給付制限なし(自己都合)
自己都合でも給付制限を受けない場合もあります。でも、その場合、給付日数は伸びません。
体力の不足、心身の障害など病気の場合
医者の証明が必要になります。様式はハローワークの雇用保険担当窓口にありますので、相談する時にもらいましょう。
介護など家庭の事業が急変した場合
通勤が困難になった場合
などなど(窓口に相談することをお勧めします)
これらを「特定理由離職者」と呼びます。
自分は該当するのでは?と思う人は次を参考にしてください。
ハローワークインターネットサービス
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
失業保険と求職活動
雇用保険受給資格者証をもらった後は、認定日の間に求職活動をして失業認定申告書を埋めていくことになります。
求職活動の主なもの
- 求人をしている会社に履歴書を送付する
- 求人をしている会社の書類選考を受ける
- 求人をしている会社の面接を受ける
- ハローワークの職員に相談する
- ハローワークで求人情報に応募する
- ハローワークの講習を受ける
- インターネット求人サイトで応募する
いずれも「証拠」が必要になります。ハローワークでの相談などは、窓口で証明書を出してくれます。
採用面接に行く場合など、ハローワークをとおした方が手続き的には楽です。自分で求人を探し面接に行くと、相手先から「面接証明」的なものをも洗わないといけません。
様式など窓口に聞いてみましょう。
インターネット求人サイトで応募する場合は、「面接希望」で応募しましょう。認定日より選考結果通知日が後の場合には、失業認定申告書の「応募の結果」欄は「選考結果待ち」などとなります。
求職活動にならないもの
- インターネットで求人を検索する
- 求人企業の採用ページに登録する
- 求人企業に資料請求をする。
- 求人企業の担当者に話を聞きにいく
- インターネットの転職サイトに登録する
- ハローワークに行く
- ハローワークで求人情報を検索する
ハローワークであっても、行って求職以外の活動(雇用保険など)や求人情報の検索だけでは、求職活動にはなりません。注意しましょう。
いずれも、疑問点があればハローワークの窓口で相談してみましょう。相談内容によっては、求職活動にカウントされる場合もあります。
新型コロナウイルスの影響で、失業認定日の変更や、郵送での認定もあるようです。気になる人は、ハローワークに問い合わせてみましょう。
失業保険をもらえるのか確認する
近くのハローワークに行く(雇用保険を扱っているところ)
「全国ハローワークの所在案内」で探すことができますが、失業保険を扱っているところは、一部なので、電話で確認してから行きましょう。
総合受付に行く
最初行く場所は、総合受付です。たいてい入り口の近くにあります。
ここで、失業保険をもらえるかどうか、質問したいことを告げます。総合案内では、あなたの名前、住所などを聞かれます。
すでにハローワークに登録してある場合は「ハローワーク受付票」を渡します。
もしあなたが、すでに退職することが決まっているなら、求職の手続きも案内されるかもしれません。
ハローワークについては「ハローワークとは」も、御覧ください。
雇用保険担当窓口へ行く
総合案内で指示された担当窓口へ行きます。
待ち時間がありますが、よばれたら、もらえるかどうか、すぐに説明してくれます。
せっかく、ハローワークに行くので、他の質問事項もまとめておきましょう。
退職後のハローワークでの手続き
持っていくもの
- 離職票
- 印鑑
- 普通預金口座
- 個人番号確認書類(マイナンバー通知書、マイナンバーカード)
- 運転免許証など本人確認書類
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)(1枚は離職票に張ります。マイナンバーカードで手続きを行う場合は、もう一枚は不要です。)
失業保険をもらうまで
雇用保険説明会への出席
指示された場所、日時に開催される雇用保険説明会へ出席します。出席しないと受給が遅れていきます。
持っていくものは、「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」(退職後、手続きした時に渡されます。)筆記道具などです。
このとき、雇用保険受給資格者証をもらえます。
私の場合、新型コロナウイルスの影響で、中止になりました。雇用保険受給資格者証も入手できませんでしたが、最初の失業認定日にもらうことができました。
最初の失業認定日に出席
持っていくものは、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書などです。
失業認定日は、4週間に1回です。4週間に2回以上(給付制限を受ける人は、最初の期間回数が違います)の求職活動をして、失業認定申告書に記入していきます。
もし、出席できない、失業認定申告書に不備があったりすると、その期間、失業保険の受給ができない場合があります。
口座に失業保険が振り込まれる
失業認定日から1週間以内程度で振り込まれます。
あとは、以上のルーティンを、就職するか、失業保険が切れるまで回していきます。
不正受給はもちろんダメです
苦しいとき、失業保険は非常に助かります。もちろん、ちゃんとした手続きを踏んでもらいましょう。書類にウソがあったり、不都合な事実を隠したりすることはダメです。
悪質な場合は、「3倍返し」で制裁を受けることがあります。
まとめ
3ヶ月の給付制限が付くか付かないかは、ハローワークに離職票を持っていった時に決まると言っても過言ではありません。
退職の予定がある人は、勉強して備えておきましょう。
いま、予定がなくても知識として知っておくと、イザというとき役立ちます。
一番いいのは、ハローワークにはお世話にならず、キャリアをサーフィンして、自分の価値をどんどん上げていくことでしょうが、普通の人はそうもいきません。
働き方改革で、同一労働・同一賃金が言われています。同じ職位なら若かろうが、経験がなかろうが、能力が高い人がたくさん給料をもらうということです。
これは、めぐりめぐって労働力の流動化、つまり、転職が一般的になることにつながると言われています。
そうなると、「退職して再就職する」ことが普通になるということです。
このような時代にうまく対応するためには、退職する時の社会の仕組みを少しでも知っておくことです。
失業保険をもらわずに、次の会社へ就職することが理想ですが、なかなかそうもいまない場合も多いと思います。
知っていて行動することが大事です。
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