雇用形態を知ることで働き方はかわるのか

「雇用形態」とは、雇用契約書や、求人誌で出てくる、正規職員とかパートとかの分類です。

人に雇われて働く人を、雇用の時間や期間、命令系統などで分けたものです。その分類方法は、いろいろあるようです。ここでは、世間一般にとおっている雇用形態で分けて説明します。

働き方改革の中で、転職をする機会が多くなってくると考えられます。自分の雇用形態を知ることは、これからの「働き方」を考える上で、しっかりと押さえておきたいことです。

雇用形態の分類

雇用に関係する組織によって分け方が違っていますが、正規雇用非正規雇用に分けられ、正規雇用が正社員、非正規雇用が契約社員、派遣社員、パートタイマー・アルバイト、嘱託職員などになります。

ここでは、一般的に分類されていると思われる項目で説明します。

正社員

長期雇用を前提とした直接雇用です。契約期間の定めはなく、フルタイムがほとんどです。日本の中心的な雇用形態です。

社会保険、賞与、各種手当も完備されているところも多く、長期間務めるなら安心して働ける雇用形態でしょう。簡単に解雇されることもありません。

会社の中心で働き、人事異動や残業も求められます。途中退職・転職時には足かせも多いかもしれません。

これまでは、働く際の目標となる雇用形態であった正社員ですが、時給換算すると派遣職員より低い場合も出てきたり、残業などの強要で自分の時間が持てなかったりします。

国主導で働き方改革が進められる中、安泰では無いようです。

※「働き方改革を労働者目線で見る」

契約社員

企業と雇用期間を定めた直接雇用契約(有期)を結んだ社員です。その人ごとに勤務時間や賃金が異なります。

正社員との大きな違いは、雇用期間の定めがある点です。雇用期間が終わると労働契約も終了します(更新の合意がある場合を除く)。契約期間中であれば、理由がない限り、会社から一方的に契約を打ち切られることはありません。

社会保険や手当、福利厚生などは正社員と同じ場合が多いです。
仕事内容、給料や勤務時間は正社員と同等の場合が多いですが、正社員ほどの責任はないため、定時退社ができたり、転勤がなかったりします。

契約期間終了で退職の不安がある契約社員ですが、「有期契約労働者の無期転換ルール」もできています。これは、契約社員だけでなく、雇用期間のあるパートタイマーなども含みます。働く人に有利なルールでしょう。

派遣社員

ハケンの品格」が13年ぶりに復活!楽しみにしていたら、新型コロナウイルスの影響で「近日公開」がなかなか消えなくて残念です。

派遣社員は、人材派遣会社と雇用契約を結びます。その後、他の会社に派遣される社員です。雇用関係は派遣会社とあり、指揮命令は派遣先の会社にあります。

自分が持っているキャリア、スキルを活かした仕事や勤務地、勤務時間なども選ぶことがでます。

一方、「派遣切り」という言葉があるように、雇用が不安定です。責任のある仕事は少ないですが、時給計算がほとんどのため、その分収入も不安定になります。

パートタイマー・アルバイト

パートタイマーとは、「パートタイム労働法」で「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」です。
正式には、パートタイム労働者と呼びます。

ちなみに、「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など呼ばれていても、この条件に当てはまれば、「パートタイム労働者」になります。

アルバイトもパートタイム労働者の中に含まれます。主婦がパートで学生がバイトというイメージもあります。会社で求人の際に使い分けているところもあるようです。

メリットは、自分の都合で働く日や時間帯を選べる、仕事の掛け持ちができる、求人が多く入社しやすく辞めやすい、などです。

デメリットは、収入や働く時間が安定していない、正社員にくらべて待遇が悪い、などです。

嘱託職員

非正規社員の雇用形態で臨時的な職員といえます。特定の業務のみを専門に行う職員です。会社によって定義はさまざまですが、定年後の再雇用、専門性の高い業務をする社員などが多いようです。

地方公共団体でも臨時職員の中で嘱託職員を雇っている場合もあります。

嘱託職員になる場合、雇用契約書の中身が重要になります。特に再雇用の場合は、正社員時と異なる点に注意する必要があります。

各組織による雇用形態の分類

大まかには、これまでの分類で十分でしょうが、雇用にかかわる各組織で雇用形態の分類が違うので見てみましょう。

ハローワークの求人区分

ハローワーク インターネットサービスの「求人情報検索・一覧」ページからです。


条件を入力して、求人を検索するページです。求人区分>年齢>就業場所>希望する職種>雇用形態と入力していきます。

  • 正社員
  • 正社員以外
  • 有期雇用派遣労働者
  • 無期雇用派遣労働者
  • パート労働者
  • 有期雇用派遣パート
  • 無期雇用派遣パート

転職サイトの雇用形態

転職サイトでは、雇用条件入力が最初の画面で、雇用形態はここには出てきません。
リクルートエージェントでは、「転職希望時期」「希望勤務地」「現在の職種」「現在の年収」が最初の入力項目です。

リクナビNEXTでは、「職種」「勤務地」が最初の検索条件です。そこから求人情報が各社毎に表示されます。サイドバーに下の雇用形態がチェックボックスで表示されています。FCオーナーが雇用形態の一つに入っているのが、世相を反映しています。

  • 正社員
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • アルバイト
  • 業務委託
  • FCオーナー

dodaエージェントでは、「職種」「勤務地」「年収」が最初の検索条件で、雇用形態はサイドバーで「正社員」「契約社員」「その他(FCオーナー、業務委託など)」となっています。

厚生労働省の雇用形態分類

日本の雇用政策を行う厚生労働省は「さまざまな雇用形態」で次のように分けています。要約して説明してみます。

家内労働者とか自営型テレワーカーとかあり、国も雇用形態の分類には苦労しているようです。

正社員

不思議なことに、「正社員」の項目がありませんでした。厚生労働省のホームページを「正社員」で検索してみると、トップに出てくるのは、「多様な正社員」という言葉です。

このなかの資料に「一般的に、正社員とは長期雇用を前提にした期間的な役割を担う従業員のことを指し・・」とありました。

どうやら、いままで正社員を中心に政策を進めてきたけど、他の雇用形態にも対応しないといけないし、正社員の中にも勤務時間限定とか地域限定とかいろいろでてきた、というところでしょうか。

派遣労働者

労働者は人材派遣会社と契約を結んだ上で、派遣先の会社に派遣されます。労働者は派遣先の指揮命令を受けて働き、賃金は人材派遣会社から支払われます。

契約社員(有期労働契約)

正社員と違って、雇用期間が定められているような労働契約をする社員です。契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。

パートタイム労働者

1週間の所定労働時間が、正社員と比べて短い労働者をいいます(パートタイム労働法では、「短時間労働者」といいます)。「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、法律上はパートタイム労働者となります。

短時間正社員

短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて、その所定労働時間(所定労働日数)が短い正社員です。

業務委託(請負)契約を結んで働く人

「業務委託」や「請負」といった形態で働く場合には、注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。

家内労働者

委託を受けて、物品の製造または加工などを個人で行う人をいいます。家内労働者は「事業主」として扱われます。

自営型テレワーカー

注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主に自宅で仕事をして、成果物の提供などを行う人です。

まとめ

働き方改革では、同一労働・同一賃金を打ち出しています。厚生労働省も「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」ということで、同一企業内における正社員・非正規社員の間の不合理な待遇差を解消するように働きかけています。

このように、私達の労働環境はこれから大きく変わっていきます。新型コロナウイルスはそれに大きく影響していくでしょう。

その中でいまの労働形態を知ることは、自分の立ち位置やこれから避けられない、退職・転職を伴う労働力流動化の時代に有効な武器となります。

正社員が雇用される側で最も有利であった時代は、終わりを迎えつつあります。大企業でも中高年の大量リストラを始めたところもあります。
このような時代だからこそ、自分を見つめ直すことが大事です。

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