みなさんは、働き方改革をどう見ていますか。
◯ 残業時間が減る?
◯ パートの処遇があがる?
◯ 女性が働きやすくなる?
働き方改革を労働者目線でじっくりと見ると、働き方改革は、経営者のためのもの
だから、労働者は知恵をつけないと足元すくわれる。これが現状です。
働き方改革の旗を振る、国の動きを見てみましょう。
厚生労働省のYou Tubeから働き方改革を知る
働き方改革、元締めの厚生労働省に「働き方改革特設サイト」があります。
そのトップにYou Tubeが貼り付けてあります。
これを観ると、国が働き方改革をどう進めようとしているかわかります。
国だけでなく、関係団体も出演しています。国と経営者からの都合がほとんどです。
労働者代表で日本労働組合総連合会も出演していますが、現場で働く労働者目線ではないようです。
You Tube出演者と主張
厚生労働大臣
国の主張です。
少子高齢化で労働人口が減ってきたので、女性、高齢者に働いてもらおう。
日本経済団体連合会
経営者として、労働者が働きやすい環境を提供していこう。そうすれば、生産性が上がる。
日本労働組合総連合会
労使間で納得して進めよう。36協定や従業員代表の選出をしよう。
日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業中央団体中央会
これら3つの組織の代表の方は、日本の労働者の7割を占める中小企業の立場です。
目線は経営者、事業主です。まあ、経営者、事業主で作られた組織ですから当然です。
You Tubeの解釈
- 労働力がどんどん減っていくよ
- 補充するためには、女性や高齢者にも働いてもらわなければ
- そのためには、職場環境をよくしていきますよ
- (言ってないけど、これまでの従業員は賃金下げたりリストラもあるかも)
- 中小企業経営者も頑張らないと労働者いなくなるよ
だいたい、こういう感じです。
働き方改革の中で労働者はどうなる
働き方改革が2019年から始まりました。すぐすぐに、大きく職場環境が変わることはないと思いますが、長期的には2020年がターニングポイントだった、と言われる年になりそうです。働く側としては、知識を学び、知恵を身につけ、大きな波に乗ることが大事です。
短期的には変わらない
働く人にどう影響するのか、短期的には、「すぐには変わらないでしょう」
変わらないことには、2つのパターンがあって、
①ホワイト:すでに会社側は対応している。
②ブラック:経営者が対応する気がない。労働者も知らない。
働き方改革は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づいて進められます。法律があるということは、国が「こうやれよ」と言っているようなもの。
でも、残業の規定が今までもありましたが、残業やりすぎで過労死や自殺が後をたたないように、ブラック企業は社畜を喰いつぶして生き残っているのも現実です。
長期的には同一労働同一賃金で大変革
長期的には、同一労働同一賃金が原因で、労働力の流動化が進みそうです。
労働力の流動化は、労働市場が流動化し、産業も成長する、というものです。私もキャリアアップをしながら、社会も働く人もレベルアップしていく、この考えに賛成です。
しかし、下向きの流動化も起きるかもしれません。その結果、正職員の賃金カットや中高年のリストラなどの世の中が待っている可能性もあります。
同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金は、正社員であろうが、パート、契約、派遣社員であろうが、同じ労働をしていれば、同じ賃金を支払うというものです。ただし、仕事内容が違えば待遇は異なることもできます。
つまり、同じ仕事をしている正職員に手当、賞与、退職金などが支給されていれば、パートなどにも払わないといけなくなるのです。
同一労働同一賃金をすすめるとどうなるのか
上振れで、パートさんの待遇がグッと良くなれば万々歳ですが、増える分は正職員から削るしかないのでは?
日本全国で非正規職員は4割いると言われていますからねえ。
仕事内容が違えば、待遇に差をつけられます。管理をする課長などには、良い待遇をしていいわけです。
しかし、この年代はすでに給料が高いので、若者より中高年を切ったほうが、企業にとって都合がいいわけです。大手企業では2019年位から中高年の大量リストラが出てきています。
同一労働同一賃金を進めた結果、非正規職員の待遇は良くなるが、正規職員とくに中高年職員には厳しい時代も来そうです。
個人的には、同一労働同一賃金は賛成で、40歳くらいで退いて、キャリアアップできる人はさらに上に登る、できない人は、パートさんと同一労働同一賃金、もありかなと思います。
いま、20歳以上の大体8割が40歳以上です。中・高・老まで貴重な労働力ですから、社会的にも個人的にも「死ぬまで」働き続けないといけない時代なのです。
「隠居」という言葉があった時代がうらやましいですね。
ソフトランディングはできるのか
このような変化が急に起こると、社会が大混乱してしまうので、国や経営者はゆっくりとゆっくりと進めたいわけです。
あおりを食って倒産したり、共倒れでドミノ倒産が始まると冗談ではないわけです。
しかし、ここに来て新型コロナウイルスの影響が出てきました。
「学校の9月入学」も新型コロナウイルスとは切り離して議論されるべきなのに、ごちゃまぜで「やっちまえば」という風潮になっています。私は、9月入学賛成論者ですが、これまで、やれなかったのに、ここでですか。という感想です。
これと同じことが、労働環境におこらないとも限りません。賃金カットやリストラを働き方改革の旗印にすすめるところも出てこないとも限りません。
労働者が知っておくべきこと
労働者個人が働き方改革の全てを知って行動することはできません。
法は、会社の総務部門が勉強して運用していきます。それを全ての労働者は理解できません。正確には、理解したくても勉強するだけの時間が取れない。
しかし、知っておいたに越したことはないので、下のリンクをクリックして勉強することもいいでしょう。
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
下に、主だったチェックポイントだけあげます。おかしいと思ったら、総務担当に質問するとか、仲間と話をするとか、ググって調べるとか、してください。自分が動かないと損をする時代です。
正規雇用と非正規雇用の待遇の差がある
賃金もそうですし、通勤手当など各種手当に差が無いか見てみてください。
自分は正規職員で非正規より良い待遇をされている、シメシメ、黙っとこう、と思っても、そんな法を守らない、あるいは、法を知らない会社は、後がありません。
残業時間がおかしい
残業を月45時間かつ年360時間させられている。(特例もあるので注意)
残業手当は、月60時間を超えた分は割増率50%ですから、ここもチェックです。
そもそも残業時間はつけていないし、サービス残業、休日出勤は当たり前、という会社は、働き方改革以前に、ブラック企業です。
ブラック企業については、別記事でまとめてあります。
5日の有給休暇取得の案内がない
5日の有給休暇取得は、会社が音頭をとらないと前には進みません。社員に何も働きかけがないということは、働き方改革もしないということです。
就業規則が自分の不利に変更されないか
自分の会社の就業規則を読みましょう。この際なので、自分の会社の就業規則を見たことのない人は、熟読しましょう。
まとめ
労働者にとって、働き方改革はいい事だらけのように見えます。ですが、調べると、働き方改革は、労働者のために始まったことではないことがわかります。
国は労働者がいないと回っていきません。経営者は労働者がいないと儲けられません。そのためには、質のいい労働者の数を揃えなければならないのです。
労働者が高齢化し、数も減ってくることは決定事項ですから、どうにかしないといけないと始まったのが、働き方改革です。
極端に言えば、使い捨てで、文句を言わない労働者が、次から次へと補充される日本であれば、始まらなかった政策です。
しかし、これまで社員を社畜としか見ていなかった経営者も、労働者に対して「優しく」しないとならなくなったのは評価できます。
この社会の仕組みさえ知らないで、これからも労働者からの搾取を繰り返す経営者には退場してもらいましょう。
そのためには、労働者自身が、国が進める「働き方改革」の中身を知り、それが自分にどう影響するか知る必要があります。
労働者にとっての本当の働き方改革とは、元気で、明るく、働きがいのある仕事をすることだと思います。そのためにも、知恵をつけていきましょう。
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