アイスブレイクで研修にリラックスを取り込もう

アイスブレイクは研修、ワークショップ、会議など硬くなりがちな複数人の集まりの時に使います。特に、あなたが研修の講師や話し合いを引っ張っていくファシリテーターだった場合、とても有効です。

参加者をリラックスさせることで、その後の進行をスムーズに効果的に行うことができます。

アイスブレイクとは

普段からあまり面識がない人が集まって行うグループディスカッションやシリアスな話題を扱う会議など、特に冒頭で参加者は緊張しています。

グループにリーダーシップを取ってくれる人がいればいいのですが、なかなか都合良くいるわけではありません。その時に、参加者の緊張を解きほぐし、脳や身体をリラックスさせるテクニックがアイスブレイクです。

リラックス効果の他、アイスブレイクの方法によっては相互理解を深めコミュニケーションを取りやすくする効果も見込めます。

相互理解を深めるアイスブレイクには、時間がかかるものもありますが、ここでは、簡単で短時間で効果のある方法を説明します。

アイスブレイクの例

時間を当てる

時間設定を30秒にしています。1分を当てるケースが多いようでが、1分ではちょっと長く感じましたので、30秒にしています。
10秒を何回か繰り返すのも効果があります。繰り返すたびに正確になってきます。

  • 参加者に目を閉じてもらう
  • 「みなさんにこれから30秒を頭の中で測ってもらいます。30秒たったと思ったらサッと手を挙げてください」
  • 「それではスタートします。3・2・1・スタート!」
  • 人数が少ない時は、30秒に近い時間で手を挙げた人を把握しておき、後で発表する。
  • 人数が多い時は、30秒で合図を出す

多面的に思考する

参加者にはメモとペンを用意してもらいます。次のような課題を出して、洞察力、網羅性、完全性を呼び起こします。例を元にオリジナルな課題を作りましょう。

スイカの有効活用法

課題:ここにスイカがあります。「食べる」以外の有効活用法を2分以内に、
   できるだけたくさん挙げなさい。

多面的に思考する訓練です。受け身でいる人間は10個以下、洞察力の高い人なら20~30個くらいの答えが出てきます。
戦略立案力が重要になります。みんなから答えを出させて思考のバラエティを楽しみましょう。
スイカでなくても、レンガ、空のペットボトルなど何でも使えます。

日本と周辺国との関係

課題:ここに周辺国を含めた日本地図があります。
   これを見て感想を書いてください。

視点を変える訓練です。

公衆電話を使う

課題:あなたは携帯を忘れてしまいました。目の前の公衆電話で自宅に連絡
   しなければなりません。あなたがこの電話で自宅に連絡するための
   フローチャートを書きなさい。ただし、START、ENDは楕円形、処理は長方形、
   判断はひし形とします。

洞察力や完全性をどこまで反映できるか、ゲーム感覚で行います。フローに慣れていない場合は例を示したほうがいいでしょう。公衆電話を知らない世代を相手にする時は、課題の対象を変えてください。

小話とその応用

トンチを利かした小話のやり取りでリラックスを引き出します。

冷蔵庫の中の象とキリン

問:象を冷蔵庫に入れるにはどうすればいいでしょう

数人に問いかけてみる。
答えは、「冷蔵庫の扉を開けます」「次に象を冷蔵庫に入れます」
    「最後に冷蔵庫の扉を閉めます」
反応を見て、すかさず、

問:それではキリンを冷蔵庫に入れるにはどうすればいいでしょう

数人に問いかけてみる。
答えは、「冷蔵庫の扉を開けます」「象を冷蔵庫から出します」
    「キリンを冷蔵庫に入れます」「冷蔵庫の扉を閉めます」

桃太郎と家来

問:あなたは桃太郎です。犬、猿、キジの他にもう一匹好きなモノを連れて
  鬼退治に出かけることになりました。
①あなたは何を連れていきますか
②それは何故ですか
③連れて行ったら重大な欠点がありましたそれはなんですか

数人に答えてもらいます。正解はないのですが、質問に次のような意味があると説明します。
①連れて行くのは何でもいい(別に動物でなくてもいい)
②連れて行く理由は、自分がそう見られたいから
③上げた欠点は、自分の欠点です。

想像力、覚悟、もしも思考、生き残り

問:想像してください。あなたは海の上5メートルの空中に浮いています。
  空は晴れ、海は透きとおっています。ただし、その海の中にはサメがうようよしています。
  そして、あなたは気づきます。「私は空中に浮いていられるはずがない。」
  一瞬で海の中へザブン!
  さあ、あなたはどうしますか。

これは、正解を引っ張ってくるのではなく、クリエイトする課題になります。
逃げるか、闘うか、あきらめるか。
1%でも生きる可能性があれば、闘いたくない相手とも闘わないといけない時があります。
「結果はともかくも、闘わないのはありえません。」

ものの見方、説明の方法

This is a pen.

問:ここにペンがあります。これを説明してください。

数人に答えさせます。その後の説明。
・こちらから見ると丸です。が、こちらから見ると長方形です。
・税別180円です。しかもセブンイレブン限定モデル
・ボディは青だけれど、インクは黒
・ものすごく大事な人からのプレゼント(それだけでも、その人の価値は違う)

モノは、見方で全く違うことを気づかせます。

トンチ

9ポイント一筆書き

問:このような9つの点が並んでいます。4本の線で一筆書きを完成させてください。30秒

ルール:線は直線、曲がりは角、線と線との交差はOK、同じポイントを何回通ってもOK

9つの点の中のエリアの中だけで考えていては正解が出ません。説明されればわかることですが、常識の外に解決方法がある例です。コロンブスの卵です。

8枚のコイン

問:見た目が同じ8枚のコインがあります。そのうち1枚は他より少しだけ重いことが
  わかっています。
  天秤を何回使えば、この1枚を見つけることができるでしょうか。

答え:2回
①3枚ずつ天秤に乗せます。
釣り合ったら、②残りの2枚を天秤へ乗せる。
釣り合わなかったら、②重かった方の3枚のうち2枚を天秤へ乗せる。

8・3・9

問:これから見せる紙に書いてある数を足し合わせてください。3秒だけ見せます。
  (見せたあと)四角に入っていた数字は何でしょう。

ミニブレインストーミング

問:この1週間で、自分に起こったサプライズを挙げてください。
 (どんどん発言させる。頭をフル回転させる)

ルール(まんまブレインストーミング)

  • 発表したら付箋紙に書いて自分の前に貼る
  • 他の人に聞こえるように声を出す
  • 他の人の意見をヒントにしよう

その他

  • 自己紹介:3~6人グループを作って自己紹介をする。自己紹介のあと「実は私は・・・」も入れる。
  • 他者紹介:ペアになった相手を紹介する。
  • ベタ褒め:ペアになった相手をとにかく褒める。
  • ポジティブ変換:相手に自分の欠点を出してもらい、それをポジティブな表現に変える。(例:「消極的」→「何事にも慎重で堅実だ」)

この他に、身体を使うアイスブレイクも効果的です。

アイスブレイクをする時の注意点

アイスブレイクは、仕掛けるファシリテーターが参加者の雰囲気を読み取り、リラックスを狙って仕掛けるものです。アイスブレイクを効果的に出せるかどうかは、ファシリテーターの経験や能力にかかっています。

そうは言っても、だれでも最初は未経験者ですので失敗を恐れず繰り出しましょう。
アイスブレイクは本論でなく、あくまでアイスブレイクですので長くても5分程度ですませましょう。今日の研修で最も印象に残ったことはアイスブレイクだった、と言われないように。

アイスブレイクは、参加者がまだ周囲の状況がよくわからない会の冒頭が効果的ですが、会議や研修の時間が長く、中だるみ気味になるときなど、途中でも効果を発揮します。

まとめ

知識を詰め込むだけの研修は、講師が考えているほど受講生は知識が身につきません。説明だけ、聴いているだけでは脳の働きも悪くなります。そういう時こそ、冒頭でアイスブレイクを活用して参加者のリラックスを引き出し、いい意味での緊張も与えましょう。

ブレインストーミングなどのグループワークだと、アイスブレイクの役割はなお大きくなります。場の雰囲気を掴みながら効果的にアイスブレイクを繰り出していきます。

といっても、アイスブレイクは表現のコントラストが強いので、同じ相手に何度も使えないのが欠点です。ネタの仕入れをしておかなければいけません。

これからは、テレワークでの研修や会議が増えてきます。オンラインアイスブレイクの必要性も出てくるでしょう。タイミングや場の雰囲気を掴むことが重要なアイスブレイクですので、既存のアイスブレイクネタでは使えないものも出てきます。効果的にアレンジしましょう。それこそがファシリテーターのためのアイスブレイクになるかもしれません。

コメント