アフターコロナの社員教育

社員教育は、社員個人の能力を高め、結果的に会社を発展させる原動力になるものです。

新型コロナウイルスで「不要不急」の外出が自粛養成され、会社活動もテレワークへと移行しつつあります。

働き方改革でテレワークが推奨されていたこともあり、「会社へ来ないで仕事をする。」ことは、主流な働き方へとなっていく勢いです。

社員教育には、社内研修外部講師を招いての研修、セミナーへの参加などがあります。

新型コロナウイルスの影響で、社員教育はしばらくの間は中止、その後はオンラインセミナーなど、新型コロナウイルスの対策ができたものから、再開になる会社が多いのではないでしょうか。

研修などについては、インターネットの利用で方法が見えてきました。

しかし、社員教育の約7割がOJTと言われます。テレワークの広がりは、業務遂行に特化しており、OJTまで考えられていないのが現状です。

このOJTをどのように社員教育として、リアルが少なくなる中で入れ込められるかが、将来の会社の未来を握っているのかもしれません。

社員教育の目的

社員教育の目的は、
「個人の成長のため」
この一言です。

会社は、社員個人を成長させて、その集合体としての会社を方向性を持って運営していくことで、会社の成長につなげます。

私は、社員教育の目的は個人の成長、その結果が会社の成長になる、と考えています。

社員教育の結果、社員が成長しすぎて自分で起業し、退社してしまったらどうするか。それこそが、社員教育の最も成果が出た結果であり、その社員は、その後は良きビジネスパートナーとしてお互いに成長することで、社会に貢献するのです。

最も愚かなのは、目先の時間・コストだけ考え、社員教育をおろそかにすることです。

社員教育の現状

社員が能力開発を行う割合は次のようになっています。

  • 研修・自己学習・・・・・・・・1割
  • 社内のコミュニケーション・・・2割
  • OJT ・・・・・・・・・・・・・7割

それぞれについて、みてみます。

研修・自己学習

1割を少ないと見るか、多いと見るか、判断が分かれるところです。

研修や自己学習などは、勤務時間をまるまる取られる社内教育です。つまり、仕事をしながら覚えるものではありません。
仕事以外の場所で、仕事以外に時間を使うものです。

1割だと、週休2日だと、2週間に1日、1ヶ月に2日は研修や自己学習に使うことになります。あなたの会社はできていますか?こうみると、たかが1割されど1割ですね。

まとめて1割を研修・自己啓発に割くのが困難な会社が多いでしょう。
その場合は、研修を分散して行うとか、自己学習は費用を会社が出して、勤務時間外に社員自らやってもらうとか、工夫が必要になります。

社内のコミュニケーション

社員はまず、研修・自己学習で自己能力を、OJTで仕事のスキルを高めます。

社内コミュニケーションは、その能力を十分に発揮し、円滑にビジネスを進め、競争力をあげていくために必要です。

社員のモチベーションを高め、一丸となって仕事ができれば、生産性向上業務効率化も見込めます。

社内コミュニケーションの最大の目標は、
「会社のビジョンをトップからパート・バイトに至るまで、共有し実践する
ことです。

社内コミュニケーションは、その会社独特のものになる傾向があるため、これが正解というものはありません。

例えば、昔から行われているものに、

  • 社内旅行
  • 社内運動会
  • 定期的な懇親会
  • 社内報の発行

など、あります。
現在も多くの取り組みが提案されています。
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OJT

OJT(On-The-Job Training)は、実際の職務現場で業務を通して行う社員教育のことです。

ずいぶん、一般的な言葉になってきました。OJTに対して、最初に説明した「研修・自己学習」は、Off-JTといわれます。

通常業務の中で、上司や先輩社員等が教える側となり、社員に知識やノウハウを教えていきます。

この手法は、どの職場でも昔から行われてきた方法です。これからも、なくなることはないでしょう。

OJTをすすめる際の最大の課題は、教える側の資質です。

著しい発展を遂げる社員は、個人の能力もありますが、最初についたメンター(指導者)が素晴らしかった、というのはよく聞く話です。

仕事ができる上司だったが教える能力がなかったので、部下を潰した、という話もよく聞きます。

社員教育の7割をOJTが占めるのなら、教える側を研修することで、メンターの資質を高めることが、重要な社員教育になるでしょう。

加えて、どの程度、社員教育が進んだかの評価制度を作ることも大事です。

本当に大事なこと

これまであげていませんでしたが、社内教育で最も大事なこと、それは、
会社代表者の資質です。

資金調達や財務手腕に長けているのは当然ですが、変化を恐れたり、共感力やコミュニケーション能力が低ければ社員はついていきません

社員教育においては、トップが会社のビジョンを語り、それを全社員が理解することが最も重要となります。

アフターコロナの社員教育

テレワークが進むと、これまでのような形での社員教育は難しくなります。

それでも、これまで以上に社員教育に取り組んでいかないと、社員の資質が落ちてくるばかりか、企業理念や方針を浸透させることもできなくなります。

こうなると、離職率の上昇や生産性の低下につながっていきます。

それでは、アフターコロナの社員教育はどのように行うべきでしょうか。

研修

研修については、オンラインでの研修やセミナーのプログラムがこれからたくさん出てくると考えられます。それこそ、珠玉混合になりますから、研修依頼先の見極めは、重要になります。

これまでの研修依頼先で、オンラインに対応してくるところもあるでしょうし、オンラインに特化した会社が研修事業に参入してくるところもあるでしょう。

しばらくは、出し手も受け手もみんな手探りの状況が続くと考えられます。

すでに、オンラインセミナーを主体にやっていて、質のいい仕事をしているところのプログラムは満員のようです。

オンラインのためのアプリ

少し前までは、オンライン会議などはシステム導入に費用がかかりましたが、いまは有用なアプリがあり、手軽に始めることができます。スマホひとつでも・・という感じです。

現在、最も利用されているのが、Zoomです。新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて、一気に知名度を上げてきました。オンライン飲み会などにも使われているように、開始するハードルは低いと考えられます。

Web会議のツールとして広がったZoomですが、使う人の急増にセキュリティやプライバシー対策がついていけず、問題が次々と出てきています。

動きが軽いので、利用者はこれからも増えていくでしょうが、重要情報を扱う会議などの使用はしばらく控えたほうがいいかもしれません。

プラットフォームとしては、優秀なので、セキュリティ対応などを注視していきたいところです。ここをクリアできれば、LINEと同じく、なくてはならないアプリになり得ると思っています。

そのほかに、Teamsあたりが主要なところでしょうか。オンライン研修をIT企業が取り組もうという場合、自分のプラットフォームを構築するところもあるでしょう。

自己啓発

研修が勤務時間内を使うのに対して、自己啓発は社員の自分の時間でやれます。

機材や費用も社員自ら用意する場合がほとんどです。「習い事」とか「趣味」に分類されるものも多いでしょう。

しかし、これらが社員の資質向上に役立たないかというと、そういうことはなく、むしろ研修の代わりに、会社も積極的に補助するべきです。

会社にも役たちそうな資格に取り組むときは半額補助とか、完全に趣味的なものには十分の一とか重みをつけて補助をすると、ある程度、自己啓発の方向性を制御できます。

社内コミュニケーションの確保

テレワークが主になってくると、社内のコミュニケーションが取りづらくなると考えるのなら、それは間違いです。

とくに、トップになればオンラインで多くの社員に情報を提供できます。社員も気軽にトップに情報提供できるようになります。

オンラインに移行しても、これがない場合、あなたの会社は、コロナのビフォアアフターに関わらず、イケてない会社です。

オンラインでコミュニケーションに使用するアプリやシステムについては、様々なものがあります。

本格的には、サイボウズなどのグループウエアを会社で使いこなせれば、オンラインであろうと、そうでなかろうとコミュニケーションは取れるでしょう。

その他にも、コミュニケーションやスケジュール管理、タスク管理などであれば、Slack,Asanaなどありますし、極端な話、いままでのメールなどでも、ツイッターなどと組み合わせてうまく使えれば、社内コミュニケーションを取れると思います。

コミュニケーションについては、すでにツールはあります。それを使いこなせるかどうかです。重要なのは、外部に任せずに、社内でトップが中心になってやること、トップが情報を出し続けることです。

我社もオンラインの仕組みができました、トップは電話で指示を出してきます、意見は飲み会で聞きます、では、とてもアフターコロナを生き残れる会社等は言えません。

OJT

アフターコロナの社員教育で、一番の問題は、このOJTの有効な方法がわからないということです。

OJTもコミュニケーションの一つですから、社内コミュニケーションツールを活用することになると思います。

俺の背中をみて学べ」という手法が取りづらくなるのは確かです。デジタルで表現できないものが、仕事に影響を与えてきたことは否定できません。

取引先への営業での話の切り出し方、接待の仕方、文章では表せない段取りの仕方などなど、仕事に不可欠なものばかりです。

これらはこれからも有効でしょう。しかし、これに頼れない時代が来るとしたら、どのような方法を取りますか?OJTをとらないで、会社が順調に行く自信がありますか?テレワークに入った部長、課長はこのことを真剣に考えていますか?まさか、ヒマしていませんか?考えましょう、まずはそれからです。

会社のビジョンの浸透

テレワークが進み、オンラインで仕事が進むようになると、最も気をつけないとならないのは、会社のビジョンをトップが、どう発信していくかになります。

これまでは、なにか事が起こったときに、トップがどのような判断を取ったか、それが、目に見えていたわけです。それが結果しかこないと、ビジョンに至る道が見えないときがあります。

企業の目標を掲げていない会社はないと思いますが、トップがどのようにそこに向かっているのかが、本当は重要です。

トップが本気度を示すとき、結果だけでなく、決断する時の思考過程、決断までの時間、決断の時の目の動きなど、デジタルでは説明できないことが重要な場合が多々あるのです。

トップが言っていることと、していることが違う会社は論外ですが、会社のビジョンを社内に浸透させるためには、トップの本気度を示していく必要があります。

これは、オンラインでのOJTと同じですが、今、現在で与えられたリソースをフル活用し、考えを伝えるのがトップの仕事になりそうです。

まとめ

アフターコロナの世界で、会社を発展させるために社員教育は、ますます重要度を増すと考えられます。

ひと所に集まって仕事をしていた社員が、バラバラな箇所で仕事をしても、企業理念の実現という目的に沿うためには、これまで以上に高い社員の資質の向上、会社のビジョンの浸透が重要になるからです。

そのための社員教育の方法は、すでに確立されたものもあれば、これから手探りで探さなければならないものもあります。

新型コロナウイルスで、いやでも環境は変わっていきます。その変化を「見て」「考えて」「行動する」ことが生き残ることになります。
社員教育は、「見て」「考えて」「行動する」ことのできる社員を増やすことでもあります。
しばらくは、これまでのリアルとICT活用の中で揺れていくでしょう。その渦の中で「見て」「考えて」「行動する」したいものです。

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