アフターコロナ「新しい生活様式」への働き方の対応

新型コロナウイルス対策で、2020年5月4日に専門家会議から、新しい生活様式(記者会見資料)が示されました。

内容は、身体的距離を取る、マスクの着用、手洗いと、これまでも、みんなやってきたことでした。

そのためか、5月31日までの緊急事態宣言の期間延長の影に隠れたせいか、危機感を持って大々的には報じられませんでした。

しかし、注意深く読むと、働くことばかりでなく、生活全てが変わるような大変なことなのです。短期的に我慢する緊急事態宣言より影響が大きそうです。

それでは、見てみましょう。
資料と専門家会議の記者会見(You Tube)を参考に作っています。

あわせて、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)も参考にしています。

記事中の赤字は専門家会議からの資料から引用したり、記者会見のYou Tubeからです。

専門家会議がとりまとめた「新しい生活様式」

長丁場に備え「新しい生活様式」に移行

発表資料の中でも唯一、赤字で書いてあり、最も重要な内容と思われます。
「長丁場」とは、少なくともワクチンが開発されて、国民全体が接種できるまで、と考えると少なくても、1年から1年半ぐらいを見込んだほうがいいのでしょうか。

感染防止の3つの基本

①フィジカルディスタンス(ソーシャルディスタンス:身体的距離)を確保する。
②マスクは世界的に有効と認識されたてきたので着用する
③手洗いを徹底する

示された「新しい生活様式」の実践例

一人ひとりの基本的感染対策として、

  • 人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける。
  • 遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ。
  • 会話をする際は可能な限り真正面を避ける。
  • 外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用
  • 家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。
  • 手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)

移動に関する感染対策として、

  • 感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
  • 帰省や旅行はひかえめに。出張はやむを得ない場合に。
  • 発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。
  • 地域の感染状況に注意する

日常生活を営む上での基本的生活様式、として

  • まめに手洗い・手指消毒
  • 咳エチケットの徹底
  • こまめに換気
  • 身体的距離の確保
  • 「3密」の回避(密集 密接 密閉)
  • 毎朝の体温測定、健康チェック。発熱またはかぜの症状がある場合は無理せず自宅で療養

働き方の新しいスタイル、として

  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差通勤でゆったりと
  • オフィスはひろびろと
  • 会議はオンライン
  • 名刺交換はオンライン
  • 対面での打ち合わせは換気とマスク

新しい生活様式は働き方にどう影響するか

感染防止の3つの基本は、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いです。
具体的に、実践例で示されました。それが、ビジネスシーンに影響するのでしょうか。

新しい生活様式と「新しい働き方」の基本的な考え方

専門家会議ではこのように発言されました。

「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は感染症の専門家である。
政府は別途、経済の専門家からも意見を徴収して、政治的な判断をしてほしい。」

これは、「専門家会議の言うとおりすると、経済は飛ぶよ!」と意見しているに等しいと思います。

これから、政治は、人の命と経済を天秤にかけたような、厳しい判断をしていきますが、相当に新規感染者数が減らない限り、今回の提言に沿ったものとなるかと思われます。

これらを元に、生活がどのように変わり、われわれは「新しい働き方」をどうすればいいのか、考えてみます。

新しい生活様式から予想される新しい働き方

オフィス

隣の人との距離が広がる

オフィスはひろびろと、人との間隔はできるだけ2m(最低1m)あける、会話をする際は可能な限り真正面を避ける、が提言です。

隣や前の席の人との間隔は、2メートル開けて、できなければ、アクリル板で仕切りをして1メートル開けるのでしょうか。

背を向き合った席は、最低3メートル以上になります。なぜなら、身体的距離は人と人との距離ですから、オフィス内を移動する人も考えないといけません

身体的距離を最低値の1メートルとると、デスクからデスクまでは、座っている人の幅+1m+通る人の幅+1m+座っている人の幅になります。人の幅を70cmと見積もっても、3.1mになります。

ところで、大型バスの車幅を知っていますか?
2.5mです。デスクとデスクの間を大型バスが走れます。

アクリル板の多用や、壁を向いて座るなどの対策をしても、現状では、提言の実現はほとんど不可能です。

提言をオフィスにあてはめると、こうなります。業種ごとのガイドラインでは、なし崩しになるのでしょうね。

みんなマスクをする、こまめに手洗い

気温が高くなってくるとマスクは、大変ですね。現場で活動しないといけない職場なら、なおさらです。そのうち、冷却機能付きのマスクも出そうですね。

マスクをすれば、あくびは仕放題、上司にもアカンベーできるし、化粧は目の周りだけでいいし、と悪いことだけではありません。

近年、建設現場で流行している「空調服」を進化させて、新型コロナウイルス対応空調服、も出てくるかもしれません。防護服みたいなものになって、これを着ていれば感染しない、でも脱げない。

トイレは大変そうですが。おむつがオプションかな。

みんな、これを装着すると、オフィスの広さも今のままで大丈夫です。
抗体ができた人から、必要なくなるので、オフィスでの格差が出てきそうです。

手洗いは、新型コロナウイルスでなくても、しっかりしましょう。
今回の騒動で、手は汚いもの、という認識が浸透しました。

洗面所の数が十分でなかったり、手拭きが使い捨てのペーパータオルでないところは、ブラック企業認定です。経営層の感染症への認識がないし、社員のことを考えていない会社です。命の危険があります。

最近、言われだしたのが、外から帰ってきたら、手を洗おう、顔も洗おう、シャワーを浴びよう、というものです。

オフィスでも、通勤してきたら、シャワーを浴びて、防護服に着替えて、さあ仕事だ、なんていうことになるかもしれません。

オンラインへの対応

今回の騒動で、テレワークやローテーション勤務、オンライン会議をまったく実施していない会社は、ブラック企業確定です。洗面所のペーパータオル対応と同じレベルで考えて間違いないです。

営業、出張

提言では、移動先の地域の感染状況を把握する、出張はやむを得ない場合に限る、会った人はメモで残す、会うときはマスクと換気を確認する、そして、名刺交換はオンライン!

営業や出張は、企業活動では必要不可欠なものです。営業や出張の源泉が「人とあって親しく話をすること」であるので、ほぼ、それを封じられました。

飲み屋で進行を深めることは、しばらくできそうもないし、ましてや接待はなくなるでしょうし。

さらに、悪いことは、営業や出張で活躍する人の多くが、ICTに詳しくないということもあります。オンライン名刺交換?なに、それ?という感じです。

オンライン名刺はガラケーの時代からあったのですが、普及しなかったですね。私は相当苦労して対応しましたが、報われなかったです。
交換しようにも受け取ってくれる人がいませんでした。

今も、営業現場は似たようなものですね。

今の営業や出張に変わる企業活動を創造しない限り、ちょっと問題が大きいですね。Zoomに対応でない人から落ちていく?
営業活動が地下に潜ってウイルス感染の温床になる?

なにか、ギスギスした会社同士の付き合いになりそうです。

通勤

時差通勤を提言されていますが、これはいいことです。都会の電車通勤が前提でしょうが、地方でも積極的に取り入れてほしいですね。

渋滞がなくなるだけでも、相当の経済効果があるはずです。

心配なのは、渋滞の原因として見落とされているのが、小学生、中学生、高校生の親の車での送迎です。

ただでさえ、増加傾向にあったのに、緊急事態宣言が解除されて学校が開かれたら、学校の周りはとんでもないことになりそうです。時差通学も提言に入れてください。

休み時間

みんなで集まって、ストレス解消も兼ねた昼食タイムは、なくなります。コーヒータイムに給湯室に集まるのも禁止です。誰かがコーヒーを入れていたら、最低1メートル離れて待っていないといけません。ソーシャルディスタンスの確保です。

当然、誰かがお茶を入れてくれることはなくなります。
「お茶入れて」といったら、ハラスメント認定!
コロナハラスメントなる新語ができるかもしれません。

新しい生活様式への業種ごとの対応

各業種はそれぞれ、ガイドラインをつくれ、言われています。
各業種をまとめる方々は、頭を抱えているでしょう。

提言をそのまま受け入れれば、潰れる業種も少なからず出てきます。全く受け入れないわけにはいけない、しかも検討の時間は限られている。

接待を伴う飲食業やライブハウスなどは、切り捨てられたらしいので、生き残るには業態を相当変えないと難しいです。

身体的距離を確保するなどのコロナ対策をとると、ライブハウスなどがどなるか、「ソーシャルディスタンス確保でアフターコロナを生き抜く」でまとめてあります。

オフィスでも、身体的距離の確保が、どれほど難しいか説明しました。
飲食業など集客型のビジネスも相当、頭をひねらないと、身体的距離は取れませんから、生き残りは厳しいです。客に防護服は着せられないですから。

提言では様々な留意点があげられています。
おそらくこれを参考に、各業種でなし崩し的なガイドラインが作られると思われます。

経済を考えて、政府はそれを追認するのか、専門家会議の提言を厳守してガイドラインの作り直しを求めるのか。

おそらく、なるべく表に出ないように調整して「ソフトランディング」させるのでしょう。

いつまで新しい生活様式が続くか

提言では、
新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域(以下「新規感染者数が限定的となった地域」という。)であっても、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式に移行していく必要がある、と指摘した。

下は、専門家会議の記者会見での質疑応答から、
日本全国で、「長丁場」を前提に「新しい生活様式」に移行せよ、ということです。
移動の8割減で流行が収まってくれば、コロナと共存する時期に入ってくる。その時に感染を減らすためには、感染を防止するには、新しい生活様式が必要である。新型コロナウイルスに対して集団免疫ができるかワクチンができて、抗体を持つようになれば、新しい生活様式の必要もなくなる。それには時間がかかる。

やっぱり、ワクチン期待ですね。

最低、1年から1年半、持ちこたえる業種、業態、会社がどれくらいあるかですね。

この期間、緊急的にオフィス環境を変えたり、コストの安い郊外へ避難して、やり過ごせる会社はなんとかなりそうです。

緊急事態宣言期間中に、売り上げがほとんどなくなっている飲食業などは、相当に厳しくなることが予想されます。

まとめ

専門家会議は、緊急事態宣言の解除を見通して、「新しい生活様式」を提言してきました。これは、みんなが抗体を持つまで、地域によっては緩めるものの、緊急事態宣言と同じような制限を生活、企業活動にかけようとするものです。

あとは、経済とのバランスを取りながら、政治が判断することになるのでしょうが、さすがに厳しい舵取りを迫られそうです。

明るい兆しもあります。中国や韓国の動向です。感染の終息によって急速に制限を緩めた国がどのような状況になるのか、政府は注視しているのではないでしょうか。

新しい生活様式は、社会構造を変えるような大きな動きです。当然、私達の働き方も大きく変わってきそうです。

あなたの勤めている会社は、この大きな波に対応してくれているのか、他人事では有りません。

対応できない会社は、今回はなんとかなっても、10年に1度は起こるといわれている、次のパンデミックを乗り切れないでしょう。

あなたの命にもかかわって来ることです。

コメント