こんまりの「人生がときめく片づけの魔法」が片付けに啓示を与える

ベストセラーになった「こんまり」こと近藤麻理恵が書いた「人生がときめく片づけの魔法」は、片づけの本というばかりでなく、いろいろな考え方を示してくれた本でした。

この本を始め、こんまりの本は40カ国以上で出版され、世界で1100万部以上売れているそうです。
こんまりは、今はアメリカで片づけコンサルタント活動を続けており、日本人以外でも彼女の方法が受け入れられている、片づけは人間共通の課題であることが分かります。

海外でも受け入れられることは、こんまりが2015年にTIME誌の「最も影響力のある100人」に選出されたことでも明らかでしょう。

単なる片づけの方法を記しただけでないこの本を買ってから10年ほど経ちましたが、今一度読み返したくて本棚の奥から引っ張り出してきました。

なぜこの本が受け入れられたのか

片づけは、昔から本のテーマとしては定番で、それこそ数えられないほど出版されています。考え方も様々で、収納法、捨て方の方法、収納グッズの使い方、断捨離とさまざまです。

その中で、こんまりの考え方を取り込んだこの本が受け入れられたのは、片づける時には異質の「ときめき」という心のありようを持ち込んだためと考えられます。

それと、モノにも心の存在感を認めて感謝したりねぎらったりすること、整理されたモノには居心地の良い定位置を決めてやること、が特徴的です。

片づけはめんどくさいものが定番で、片づけ途中はどちらかというと負の精神状態が支配しています。そこに、片付けられるものがあなたに「ときめき」つまりプラスを与えてくれるモノを残し後は感謝して捨てることを第一段階としています。

Tシャツを立てて収納するたたみ方など、広く受け入れられたテクニック的なものもありましたが、この本が売れたのは、片付ける時の心の持ちようを提案したためと考えています。

「人生がときめく片づけの魔法」概要

一気に片づける

片づけは一気に短期間で完璧に行うべき、との考えです。
片づけ本のほとんどは、片付けの方法を習慣にし、生活の中で少しずつ進めていく方法です。でなければ断捨離のようにほとんどを捨て去ってしまうか、です。
こんまりは経験からも、少しづつ進める方法はリバウンドすると断言しています。

「一気に短期間で」「完璧」に行う方法については、方法やコツが書かれています。
一つ紹介すると、「自分の不要なモノを家族に与えない」。よくやることですが、家のなかに存在すれば、捨てなかったこととことも一緒です。

まず捨てる、それから収納場所を決める

こんまりは今までのよくあった、少しずつ片づけていく、日常に片づけを取り入れることを否定しています。一気にいらないものを捨てて、それから収納場所を決める順序が大事だと説きます。

昔の写真や思い出の品など、捨てることを迷うモノ、あるいは、それに心奪われてしまって片付けを邪魔するモノについては、生活用品とは別に捨てる時のコツを説明しています。

ときめきが基準

ものを捨てる時に、それを手に取って「ときめき」を感じるかどうかが、捨てるか捨てないかの判断基準です。いささか乙女チックな表現ですが、手に取ったものに、ウキウキの方向に心を動かされるかどうか、でしょうか。

「1年間使わなかったから捨てる」など時間軸は判断基準にはならないと行っています。

モノ別に片づける

エリア別に片づけると、同じものが別のエリア(部屋)にあるので片づかない、服なら家中にある服を全て同じ場所に出して片付け始めます。片づけるモノにも順序があります。

確かに、服は何箇所かに分散して収納されていますし、Tシャツ置き場も複数あります。パンツも。

カテゴリーごとに集合させないと、心のなかで整理もできなくて、捨てるものを判断できないことは分かります。
服なら服を家の一箇所に集める時点で、三分の一くらいは「ときめく」かどうかの判断の前にゴミ袋行きになりそうです。

服のたたみ方は立てるたたみ方

こんまりは片づけのノウハウ的なことも書いていますが、その中で服を立てるたたみ方は秀逸です。

立ててたたむと、タンスを開けた時に見えるし、服も活きいきしてくるそうです。このたたみ方は参考になりました。こんまりの方法を全て実践できない人でも、この方法は役に立つはずです。

書類は全捨て

今、必要な書類意外は必要ないものとみなします。まあ、言われてみればそうです。

収納はモノの定位置を決めてやる

使ったら定位置に返してやる、例えば外出から帰ってきたら、身に付けていたモノを全て定位置に返してやる。真理です。

モノが片づかない原因は、そこにないべきものがあること。例えばテーブルの上にウエットティシュがある、テーブルの上でそうそう使うことのないウエットティシュの定位置はそこではないはずです。テーブルでウエットティシュを使った後にすぐ定位置に戻してやれば、片付いた状態がキープできるのです。

モノが散らかるのは、定位置に戻れなかったモノたちが集まってしまった結果なのでしょう。

モノを定位置に戻すことが出来るかどうかが、こんまりの片づけ方法が実践できるかどうか、と同意義だと私は思っています。

まとめ

こんまりの「人生がときめく片づけの魔法」は、単なる片づけの方法を説明した本ではありません。自分を取り巻くモノをどのように感じるか、どのように活かすか、その手段が片づけであることと説いた本です。

こんまりは、本の中で、不要なモノが片づかない状態だと、心が「ざわざわする」と言っています。確かに、モノには思い入れがあり、それが視界に入ると、頭の中を揺り動かします。あるときには思考の邪魔をします。調べ物をしようとスマホを開けたのに、着信メールをチェックしだしてしまった、みたいなものでしょうか。

明らかに不要なモノがあふれかえった汚部屋の中で生活することを受け入れられる人以外は、こんまりの片づけの考え方、方法は有効と思います。

概要では書ききれない重要な項目も数多くあります。ベストセラーだったので家に本がある方も多いと思います。今一度引っ張り出して読んでみたらどうでしょうか。

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